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読書と音楽と映画の寸評

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燃えよドラゴン


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燃えよドラゴン


“龍争虎闘”“ENTER THE DRAGON”
1973年 アメリカ・香港合同製作
監督:ロバート・クローズ
音楽:ラロ・シフリン
出演:ブルース・リー ジョン・サクソン


あらすじ-goo映画



ガリガリの虚弱体質で体育教師に忌み嫌われていたわたしは格闘技や肉体美という世界に羨望の眼差しさえ送っても所詮は自分と関係のない宇宙人の会話のような世界と思っている。しかしそんなわたしの唯美的な琴線を微妙にくすぐるなんとも言えない美的オーラを放つ格闘技映画がブルース・リー作品である。なかでも『燃えよドラゴン』は実に10回以上見た。


ストーリーはいたって簡単。香港英国政府の情報機関の依頼を受けた少林寺の武道家が、かつての同門で少林寺の教えに背き麻薬の密売や人身売買をしているシンジケートのボスの潜む孤島の要塞へ、そこで行われる武道大会の選手として侵入し、見事その要塞で行われる悪事をつきとめ、敵のボスを倒して終わるという要約具合。007のボンドシリーズそっくりである。ついでにボンドガールみたいな東洋美人も出てくるし。ブルース・リーが主演していなければ間違いなく凡作で終わる映画だろう。


このイージーなアンチ・インテリジェンスなアクション映画にもコンセプチュアルな主題らしきものはそれなりにこしらえてある。あのブルース・ファンにお馴染みの冒頭のブルースと弟子の問答のシーン(ブルース・リー自身の演出部分)だ。そこにおいてブルースは弟子に武道について「考えるな、感じるんだ」と言い放ち、老子の世界に通ずるたおやかな無我の境地を諭す。しかし全体は妹を殺されたブルースの復習劇である。この辺のアンビバレンスがコンセプチュアルな核になるのだが、はっきり言って、熱心なファンでなければどうでもいい事柄ではある。


ブルース・リー映画の魅力はブルース・リーの華麗な舞踏のような拳法パフォームと残酷表現、シリアスなタッチに尽きる。あの「アチョ~~!!」と叫ぶ怪鳥音(と言うらしい)、鮮やかな肉体の軌道、指の先まで統括された体位の美しさはハリウッドの亜流の俳優たちがプラグマティックに模倣できる型ではない、とっても精神的なもの。それにやけにグロい演出とかシリアスなスピリットへのこだわりはブルース作品に限り顕著に映る。後年のジャッキー・チェンはこの部分においてブルースを超えられない限界を悟ったので、対極的なコメディづくしの作風を走り続けたのではないかと勘繰りたくもなる。よく「肉体の哲学」などという安っぽいコピーで総括されやすいブルース・リーだが、哲学ではなく、そこはかとなく散りばめられた美意識の産物が映画として結実しているのである。


ブルース・リーはこの映画のシナリオには気にいらなかったが、監督ロバート・クローズの映像センスには注目していたらしい。要塞島で行われる宴会に象徴される逆オリエンタリズム、クライマックスの「鏡の間」での死闘のいかにも時代的なサイケ感覚は何かのネタに借用したくなるほど出来栄えが素晴らしい。そして映画の編集後のフィルムを見たハリウッドの首脳陣が大ヒットの予感を確信してさらに莫大な投資をつぎ込んで完成されたというサウンドトラック。あのテーマ曲を聴くと、みずぼらしいジャンクが浮かぶ香港の港、近代的高層ビルの狭間に建ち並ぶスラム、といった植民地主義的オリエンタリズムのニヒルな空気が漂ってくる。


やはりあまりにも死に様が唐突過ぎたと言わざるをえないブルースの最後。あの映画の後の変遷を想像して余りある空白を置き残して、逝ってしまった。


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燃えよドラゴン ディレクターズ・カット スペシャル・エディション燃えよドラゴン ディレクターズ・カット スペシャル・エディション
(2007/08/10)
ブルース・リー



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