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読書と音楽と映画の寸評

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『ねぼけ人生』 / 水木しげる


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ねぼけ人生
水木しげる
筑摩書房 1982-03






わたくし的に読んでかなり元気が出るエッセイである。


水木しげるは「ゲゲゲの鬼太郎」の生みの親である。「鬼太郎」の原作は登場人物の会話の言い回しがちょっと変である。水木しげるも変な言い回しをする人である。「僕がベビーの頃はですねー」などとお話になるが、このような言い回しはたとえ節操なき横文字好きといえども長嶋茂雄でさえしないだろう。無論カッコ悪いことはしないからである。そういう平凡な美的感性とはかなり隔たったところで水木しげる先生の価値観やセンスが息づいている。


幼少時代から片腕を南方戦線で失い、九死に一生を経て、戦後の極貧生活の中で紙芝居作者・貸し本漫画家と変遷し、雑誌連載の漫画家として大成していくまでの、いわば半世記が本書の内容である。


かなり激動の人生であるが、タイトルに見受けられるように暗い感じはしない。むしろユーモラスな趣を漂わせているのであるが、その一因が文体の独自性だと思う。そして、極貧時代に近所の墓場に行って無縁仏の墓と「交流」するのが趣味だったとか、この人の感性はかなり彼岸じみている。戦地で南方の原住民と仲良しになる話など、はじめからこの人はどこが違う場所で時代の空気を吸っていたのではないかと思わされる。


本書で唯一つ主張されていることは著者が南方での島民文化から得た、自然から恵みを得てゆったりとした時間の中で多くを望まず大らかに生きる、そのような文明観の提唱であろうか。そのようなものがこの島国で実現することは永久にありえないが、そのような価値観で世の中に向き合っていても何とか生きていけるであろうということは、著者自身の人生がその証左になっているように思う。


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ねぼけ人生 (ちくま文庫)ねぼけ人生 (ちくま文庫)
(1999/07)
水木 しげる




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慢性鬱状態で活字を追うのは苦痛です。
電気ショック療法を受けたみたいに、
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自分はパンクでした。

たけしの映画より、
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