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読書と音楽と映画の寸評

Until The End of The World


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”Until the end of the world” / Soundtrack / 1991

 





映画はコケたが、サントラは凄まじい作品が残った。なんとも笑わせてくれる一品である。


物語は20世紀末の近未来(映画制作当時では)が舞台。人間の視覚に映ったイメージを他の人間の脳へ直接画像を転送する機械を発明した科学者の息子が、盲目の母に見せる画像を撮るために世界を旅して回る。


このいかにも映画青年的な発想のSF作品の監督は、『ブエナビスタ・ソシアル・クラヴ』のヴィム・ヴェンダース。


20年以上だか構想を考えた大作にふさわしくサントラ用の楽曲提供に集められたミュージシャンの顔ぶれが凄い贅沢の極みである。


有名どころでは、トーキング・ヘッズ、U2、ルー・リード、R.E.M、エルビス・コステロ、それでマニアックな類ではニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズ、パティ・スミス&フレッド・スミス、ダニエル・ラノワという渋い面子に、CAN、クライム&ザ・シティ・ソルーションといった監督の母国ドイツ勢もちゃんと起用。サントラに収録されなかったピーター・ガブリエルまでいるというなんともしたたかな布石と無駄遣い。


これだけ贅沢な音楽をそろえながら映画は興行的に失敗し、内容も批評筋で散々コケにされた。「未収録映像を収めた完全盤を出す」といってヴェンダースはいつまで経っても出さない。その間に『ブエナビスタ』のような隠居寸前のような凡作を出す。永遠に映画としては日の目を見ない作品のようだ。


わたしはサントラを先に聴いて2年余り後に映画を見た。音楽のイメージがあまりに強烈過ぎて作品自体がテーマを追いかけるのに必死、といった感じ。それぐらいこの映画の壮大なイメージを追いかけるミュージシャンたちの姿勢に真摯さと楽曲の結実を感じる。


ちなみにこれを聴きながら大阪芸大の入試に向かいましたが見事合格できました。


歌入りの曲だけでなく、ピグミー族のコーラスをフィーチャーしたグラエム・レベルのオリジナル・スコアも雰囲気たっぷりです。



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(1994/08/22)
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