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Yellow Magic Orchestra / Public Pressure


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Yellow Magic Orchestra /   ”Public pressure” / 1980

 





YMOと言えば、テクノ。

だけど、1980年代後半に思春期を迎えた僕には「テクノ」といえば、「ピコピコ」音しか浮かばなかったし、そもそもその頃僕の周囲に流布していたYMOについてのイメージと言えば、「君に胸キュン」だとか「以心電信」しかなかった。

僕は邦楽よりも洋楽の方に先に開眼していて、初期パンクだとか第二次ブリティッシュ・インベンションをよく聞いていた。

そんな僕だったから、YMOに開眼させられたきっかけは、「テクノポリス」や「ライディーン」のようなマスにウケたアルバムでもなく、『BGM』や『テクノデリック』のようなYMO信者に崇め立てられ続けているコアな名作でもなく、この『パブリック・プレッシャー』だった。

YMO初の世界ツアーであるトランスアトランティック・ツアー、そのNYのハラーでのLIVEビデオを見たとき、僕が感じたYMOは「テクノ」ではなく、「パンク・ニューウェイブ」の感覚だった。
「コズミック・サーフィン」の演奏は紛れもなくニューウェイブっぽいテイストがしたし、メンバーの人民服にマジシャンの覆面という装束も80年代洋楽のオリエンタル志向に沿った感覚に忠実であったように思う。

僕にとってYMOは「テクノ」ではなくて「パンク・ニューウェイブ」という捉え方が初めにあった。
だからこの『パブリック・プレッシャー』の次にハマったのは『増殖』だったし、『BGM』とか『テクノデリック』を聞けるようになるには時間がかかった。
広義で捉えれば『BGM』なんかは典型的なニューウェイブ音楽であるかもしれない。
だけど洋楽のニューウェイブ音楽の中ではああいう重層的な音を出すのはほとんどなかったし、『テクノデリック』みたいなインダストリアルなパーカッションをサンプリングしたり演奏するミュージシャンは主流じゃなかった。
「テクノ」というのはまだ存在してなくて、「テクノ・ポップ」という定義はあっても、そのほとんどは「エレクトロ・ポップ」だったのかもしれない。

この『パブリック・プレッシャー』も「エレクトロ・ポップ」の亜種のようなアルバムであって、だからこそ僕の耳にも自然に入り込めたのかもしれない、という気がする。

この『パブリック・プレッシャー』は周知の通り、正確には実況録音的な意味でのライヴアルバムではない。
サポート・メンバーのギタリスト、渡辺香津美の演奏がレコード会社の契約上の問題でそっくりカットされてしまって、そのかわりにシンセのオーヴァーダビングが施されているという代物であり、言うならば「バッタもの」のライヴアルバムなのだ。

ハラー公演の「コズミック・サーフィン」のような渡辺の素晴らしいギターワークはここでは聞けない。
「ジ・エンド・オヴ・エイジア」はオーヴァーダビングの箇所を繰り返し聞いているとなんだか飽きてくる感じもする。
でも、例えば「レディオ・ジャンク」のような曲はギターチャンネルを封じたおかげで逆にしなやかなポップ・ソングに仕上がったかもしれない。シーナ&ロケッツのスタジオ録音のようなコテコテのロック色が抑制されて、高橋幸宏の持ち味であるポップテイストが生かされているように思う。

トランスアトランティック・ツアーの演奏は、渡辺香津美の演奏パートをそのまま流した『フェイカー・ホリック』という完全版というべきアルバムが後から出ている。
この『パブリック・プレッシャー』と聞き比べてみるのも面白いかもしれない。

この『パブリック・プレッシャー』のチープでパンク的な初期衝動がほとばしる演奏を聴かなかったら、「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」のスタジオ録音のバージョンの良さもなかなか理解できなかったかもしれない。

そういう初期衝動がYMOのバイオグラフィーの中で存在するのはこの時点だけである。そういう意味ではYMOとしては珍しく、且つ重要なシーンがここには残されているかもしれない。


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Author:hemakovich
慢性鬱状態で活字を追うのは苦痛です。
電気ショック療法を受けたみたいに、
直前に読んだページの内容を忘れます。

思春期の衝動が、ハードロックに向かうか、
パンクに向かうかで、
人間の感性って分かれ道になるみたいですね。
自分はパンクでした。

たけしの映画より、
村川透のブルーがきれいです!
村西とおるのサイト、いいです!


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